Windows Server 2019やVMware仮想マシンにも対応したAzure Backup Server v3が利用可能にMicrosoft Azure最新機能フォローアップ(66)

Azure Backupサービスとともに機能し、オンプレミスサーバのベアメタル回復用バックアップやアプリケーションのD2D2C(Disk to Disk to Cloud)のバックアップ保護と復元を可能にするMicrosoft Azure Backup Serverの最新バージョン「v3」が利用可能になりました。

» 2018年11月29日 05時00分 公開
[山市良テクニカルライター]
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Microsoft Azure最新機能フォローアップ

Azure Backup Serverとは?

 「Azure Backup」は、「Azure Recovery Services(Azure復旧サービス)」の一部として、オンプレミスのサーバやクライアント(64bit Windows 7 SP1以降)、アプリケーション、Azure IaaS上の仮想マシンのバックアップ保護と回復を、低コストで拡張可能なクラウドの記憶域を利用して実現するサービスです。

 Azure Backupのエージェントを展開したスタンドアロンサーバおよびクライアント環境では、ファイルとフォルダ、システム状態(2017年10月から)のクラウドへのスケジュールバックアップと回復操作を、「Windows Serverバックアップ」とよく似た管理コンソールから実行できます。Azure IaaS上の仮想マシンは、簡単な操作でAzure Backupを使用してオンラインバックアップすることができ、バックアップからAzure IaaS上の仮想マシンとして回復できます。

 この他、オンプレミスに「System Center Data Protection Server(DPM)」(LTSCまたはSAC)を展開済みの場合は、DPMエージェントを使用した複数のサーバやクライアント上のベアメタル回復用、あるいはアプリケーションのD2D(Disk to Disk)によるバックアップ保護のバックアップデータを、Azure Backupに転送してD2D2C(Disk to Disk to Cloud)を実現できます。

 「Microsoft Azure Backup Server」(以下、Azure Backup Server)は、DPMのライセンスを持っていない場合に、無料で入手してバックアップサーバとしてインストールし、Azure Backupサービスとともに使用できる、DPM互換のバックアップサーバ用ソフトウェア(SQL Serverのソフトウェアを含む)です(画面1画面2)。

画面1 画面1 Azure Backup Server(最新はv3)は、DPMのライセンスを持っていない場合でも、無料でダウンロードして使用できるDPM互換のバックアップサーバ用ソフトウェア
画面2 画面2 Azure Backup Server v3の管理コンソール。機能的にはDPM 1807と同等

 DPMと連携したアプリケーションのバックアップは、2015年10月に一般提供が開始され、同時にDPM 2012 R2ベースのAzure Backup Server v1が提供されました。その後、2017年5月にDPM 2016ベースのAzure Backup Server v2が提供され、Windows Server 2016のサポートやVMware仮想マシンの保護機能(プレビュー)が追加されました。

 最新のAzure Backup Server v3(バージョン13.0.415.0、2018年11月13日リリース)は、後述する新機能に加え、LTSC(Long Term Servicing Channel)リリースであるDPM 2016の更新ロールアップ5(UR5)および更新ロールアップ6(UR6)、SAC(Semi-Annual Channel)リリースであるDPM 1801とDPM 1807向けのバグ修正を含みます。バグ修正の内容は、以下のDPM各バージョンのリリースノートとサポート情報で説明されています。

Azure Backup Server v3の新機能

 Azure Backup Server v3は最新のDPM 1807をベースに作られており、共通の機能を備えています。最新のDPM 1807は、DPM 1801に対するアップデートとしてのみ提供されますが、Azure Backup Server v3は単体のソフトウェアとして新規導入(またはAzure Backup Server v2からのアップグレード)できるのが特徴です。

 Azure Backup Server v3の新機能や改善点については、以下のドキュメントで説明されています。

 新機能の中から、特に注目の3点を紹介します。

●VMware仮想マシンの保護

 Azure Backup Server v3では、VMwareプラットフォーム上のVMware仮想マシン(VMware vCenter/vSphereと、VMware ESX/ESXi 5.5/6.0/6.5)のバックアップ保護が運用環境で正式にサポートされます(画面3)。

画面3 画面3 Azure Backup Server v3は、運用環境のVMware仮想マシンの保護を正式にサポート

 製品版のDPMでは、DPM 2012 R2 UR11、DPM 2016、DPM 1801以降でVMwareプラットフォーム上のVMware仮想マシンのバックアップ保護が既にサポートされています。Azure Backup Server v2では、Windows Server 2016のバックアップサーバにおいて、VMware仮想マシンのバックアップをプレビュー機能として利用できました。

●SQL Server 2017のサポート

 Azure Backup Server v3用のデータベースでは、SQL Server 2017インスタンスの使用がサポートされます。Azure Backup Server v3には、バックアップサーバ用のデータベースとして使用可能なSQL Server 2017が同梱されています。また、SQL Server 2017は、保護対象のアプリケーションとしてもサポートされます。

●Windows Server 2019のサポート

 Azure Backup Server v3は、バックアップサーバとして最新のWindows Server 2019へのインストール(画面4)、Windows Server 2016上のAzure Backup Server v2/v3のWindows Server 2019へのアップグレードをサポートしています。

画面4 画面4 Azure Backup Server v3は、最新のWindows Server 2019にインストール可能

 バックアップ保護の対象(ベアメタル回復やアプリケーションサーバのサーバOSとしてのWindows Server 2019)としてサポートされるかどうかについては、現状、以下の公開情報には含まれていません(2018年11月13日時点)。そのため、Windows Server 2019のOSとサーバ上のアプリケーション保護に影響する可能性があります。

 製品版のDPMでは、2019年第1四半期に予定されているSystem Center 2019のDPM 2019でWindows Server 2019が正式にサポートされる予定です。

Azure Backup Server v2のサポートは2019年5月に終了

 Azure Backup Server v3の提供開始により、既に利用中のAzure Backup Server v2のサポートは「2019年5月」に終了する予定です。Azure Backup Server v3は、Azure Backup Server v2からのアップグレードをサポートしているので(Azure Backup Server v1やDPM製品からのアップグレードは非サポート)、それまでにAzure Backup Server v2からアップグレードしてください。

筆者紹介

山市 良(やまいち りょう)

岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。


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