【半導体製造装置メーカー・年収比較】実は高年収業界?! 1位は900万円超え
[2017.02.17]
2016年度は活況だった半導体業界。半導体といえば競争が激しく、日系メーカーは海外メーカーの勢いに押されているイメージを持っている人も多いのでは。
しかし、それはあくまでも半導体そのものの製造を行っているメーカーの話。半導体の製造を支える装置の分野では、実は海外の半導体メーカーを相手に売上を伸ばしています。
そんな半導体製造装置のメーカーの年収事情はどうなっているのでしょうか？ 代表的な半導体製造装置メーカーの平均年収を、有価証券報告書のデータをもとに調査してみました。
平均年収トップは東京エレクトロン
2015年度の平均年収のランキングを見てみましょう。
平均年収の1位は、売上で国内1位の東京エレクトロンの903.2万円（平均年収43.3歳）です。続く2位は売上でも国内2位につけているSCREENホールディングスの884.7万円（45.2歳）、3位はアドバンテストの867.6万円（43.6歳）という結果になりました。
平均年収がもっとも低かったのは、東京精密の752.4万円（41.3歳）です。
1位の東京エレクトロンは唯一の900万円超えで、2位のSCREENホールディングスを18.5万円差で上回っています。もっとも年収が低い東京精密と比べても、その差は150.8万円。首位のソニー（935.5万円）と最下位のシャープ（633.7万円）に300万円近くの年収差がある大手電機メーカーと比べると、半導体製造装置は全体の水準が高く、メーカー同士の年収差が少ないと言えます。
年収アップ率ではアドバンテストが首位に
今度は5年前の2010年度と比較して、平均年収がどのくらいアップしているのかを見てみましょう。
下のグラフでは、縦軸が平均年齢、横軸が年収のアップ率、そして円の大きさが2015年度の平均年収を表しています。
5年前と比較した年収アップ率がもっとも高いのは、26.5％のアドバンテストです。平均年収3位にランクインしているアドバンテストは、検査装置の分野で世界首位。売上の9割が海外という状況です。近年はとくにスマートフォン向けの半導体需要が高まっていることを背景に、アジア市場で売上を伸ばしています。
続く2位はSCREENホールディングスの24.7％。平均年収でも2位の884.7万円に位置しています。ただしSCREENホールディングスは持株会社のため、他社と比較する際には注意してください。
アップ率3位（20.7％）の日立国際電機は、平均年収は799.9万円で6位となっていますが、9社のうち唯一リーマンショック以降ゆるやかに増加し続けています。
その一方、転身支援制度（早期退職制度など）によって徐々に従業員数を減っているという側面も。また、2016年10月には、日立が売却を検討しているとのニュースも出ており、今後は年収もどう動くかわかりません。
伸び率で最下位は、2.6％増のニコン。ニコンはカメラのイメージが強いですが、長きに渡って半導体製造装置の分野でも存在感を発揮してきました。しかし、技術競争の激しさから近年は半導体露光装置で赤字が続いており、2017年1月からは早期退職者を募ることも発表されています。これが平均年収にどう影響してくるのか、注視が必要です。
動きの激しい業界だけに、今後の動きも要注目
半導体製造装置メーカーの全体的な平均年収の動向は、ここ数年は上がったり下がったりしつつも、全体としては微増の傾向です。
2009年度、リーマンショックの影響で各社の年収は前年と比べて平均約160万円も下がりました。その後一旦は回復するも、半導体市場全体が減速した2012～2013年度にほとんどの企業が再び減少。そして現在までに再び上昇し、2015年度には半数の企業がリーマンショック前の水準を上回っています。
近年の半導体業界は、世界的に業界再編の動きが進んでいます。半導体製造装置メーカーも例外ではなく、白紙にはなったものの、世界ナンバーワンの米アプライド・マテリアルズ社と東京エレクトロンが経営統合することで一時は合意していました。
半導体製造装置メーカーは半導体メーカーよりも安定して業績を伸ばしているものの、同時にリストラも行われているなど、安心はできません。
業績だけでなく、M&Aなどの影響によっても平均年収は変化します。好調不調の波が激しい業界だけに、転職を考える際には企業の将来性をしっかり見極める必要がありそうです。
